なんと言ったって、荒れ地を通るのは危なっかしい。どこに探せば良いか知っているなら、水があるし、馬が踏み外したら溶岩バッブルに飲み込まれることだってありうる。月が出ていたから小道が見えていた。出来る所で馬を走らせたし、出来ない所では軽駆けさせた。スタンプはネイトと連中がエル・パソに着く前に追いつくことに集中していた。
夜明けたら止まって鞍を移した。私のをあの焦げ茶馬に、またストンプはまだら馬へ。それから、小さなたき火をして、コーヒーを入て、飲んで、残りかすで火を消した。
昼下がりで連中の最初の間違いを目つけた。小道に溶岩ドームが重なってあった。そのドームの中に大きな穴が開いていた。まだら馬を止めさして、鹿毛色の馬への引き綱を倉に繋いだままで降りた。ドームの上に歩くのが危険で四つん這いですすんだ。穴に近寄ったら、腹這いにして除いた。
「ストンプ、馬一頭死んでいる。落ちて、怪我したようだ。連中、そいつを撃つしかなかったんだろう」と言った。
焦げ茶色の馬にもどって縄を拾った。鹿毛の馬を繋いだままで倉を下ろした。溶岩の厚そうな淵を選んで、鞍の敷布をかけて、縄が切られないようにした。自分に縄をもやい結びで止めた。
ストンプに縄の端を渡した。「ゆっくり下ろしてくれ。死んだ馬を調べるから。」
溶岩ドームの中に入ったら、馬の前足が折れていて、横腹に深い傷があった。触ってみた。冷たくなっていた。前足を掴んだら膝で曲がった。横壁まで行ってストンプを呼んだ。「上へ引っ張ってくれ。」
引っ張り上げてくれた。
「馬は冷たいがまだ堅くなってない。馬一頭死んでいるとだれかの馬は二人を運ぶはめになる。また落ちた時に乗っていた奴は怪我したかどうかわからん。」ストンプを見つめた。「俺たち追っていることが奴に分かっているんだろうか。」
「早かれ遅かれ分かるさ。」
「隠れて俺らを待ち伏せるのか。」
「やって見るだろうよ。」
「くそう。」
ストンプは言う。「鞍着けろう。行くぜ。」
日暮れでは溶岩の峡谷で洞穴の中でベーコンと焼きパンを僅かなたき火で作って食べた。馬たちはノーズバッグに顔を突っ込み残りの大麦を食べていた。水は水筒にあった分しかなかった。
「リオグランデ川はまだ遠い。こことあそことの間に水はどこかにあるか?」とストンプは私に尋ねる。
「あるのはある、探せるなら。最も近いのはイーグル・ネスト・タンク。20里ほどだろう。」
ストンプはベーコンをパンに包んで齧った。「朝までに着くかな?」
「昼までかかるだろう。ここからイーグル・ネストまでの地方は結構あれておるんだ。」私もパンとベーコンを齧った。うまかった。水を一口だけ飲んだ。
ストンプはサドルバッグのなかに何かをさがしていた。やがて銃弾が入っている布袋を取り出した。「ちょっと拳銃の練習をしてくるよ」と言って焚き火から離れた。見えなかったが拳銃を撃ってまたタマ突っ込んでまた撃って、四回繰り返した。正確に撃つなら練習しないと。ストンプはいつも練習していて、必要な時に正確に撃つ人だった。
ストンプは戻って、座り込んで、銃の手入れを始めた。「寝ろ」と言う。「月が出て来たら起こすから。そうしたら出る。」
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