ストンプはコーヒーをごくりと飲み込んだ。「ネス、おめえは数多い助手の中でずばぬけて一番だったよ。今回、並みの助手じゃ勤まらねえよ。駅馬車に乗ってた人たちを射殺して金を盗んだ連中はほっておけねえ。許せねえよ。誓うよ。一緒に行くか。」
「俺、行く」と答えた。
私にバッジをくれた。盾形のなかに星があって、連邦保安官助手(DEPUTY U.S. MARSHAL)と型押ししてあった。「グラント・クロシングの時から何年もたったが、駅馬車の金庫を盗んだのだから連邦犯罪だ。だから、俺の管轄だ。捕まるまで追っていくさ」と言った。
グラント・クロシングの町保安官の後、ストンプはアパッチ郡の保安官になった。しかし次の選挙でC.P.オウエンズに負けた。役二週間後、ストンプは連邦保安官になっていた。そのバッジをストンプにつけたのはJ.T.カーとの噂を耳にした。「ストンプ、ならず者らをどのぐらい追う気?」と聞いた。
「一日かも。一週間かも。やっ、一年になるか。つかまるまで追っていくよ。」
「ここに座っていてくれ。コーヒーをも一杯飲んで。俺、支度したら乗って行こう。」
ストンプは頷いた。テーブルで座ったままで空のコーヒーコップを見詰めていた。
台所を通った時、リタに「お願い、ストンプにコーヒーを注いでくれる?それと、スナッフィ・デーガンに五日間の食い物を用意するように言って、それに毛布とスリッカーも。ケネガンに一言を言っておく」と言った。
リタのスパニッシュ・アイズは「分かっているよ」といわんばかりの目つき。けど、文句を一言も言わなかった。
ケネガン•ゼインは子牛囲いにいた。母牛を亡くした生まれたての子牛を子を亡くした別の雌牛にくっつけるようにしていた。なじむと人間の手で育たなくて済むから。
「ヘレフォード牛はよくそだっているね」といった。
彼は頷いたが目を子牛から離さなかった。
「ストンプ・ヘールが来て、ちょっと一緒に乗ってくれって。俺のいない間、RP牧場を任せるね。」
また頷いた。
「時間かかるかもしれない。」
「ネス、留守の間RP牧場を守るよ。絶対。」
「分かっているって。感謝しているよ、ケネガン。リタが実家へ帰るか聞いてみるけど、多分ここにいるというだろう。そのような女だから。」
「でしょう。でも、それが問題ない、ネス。仕事をよくするし、スナッフィの料理に太刀打ちができるからね。」
家に戻ろうとした。
「ボス?」
「何だ」
「あんたは強行な男だと分かっているし、その44口径を使うのは人並みじゃないし、けど、十分に気をつけてくれ。ヘール保安官が追っているやつらは吊り首になりたくないんで、戦うでしょう。奥様の言葉をかれるとクイダルセ、注意してくれよ。」
笑みが浮かんだ。「確かに。気をつける。ありがとうよ、ケネガン。」
すでに馬小屋へと歩いていた。ケネガンのようなアリゾナいちの主任がいるのは幸いだった。兄ガレッツのH+牧場のダン•トラバース主任にまけないほどだ。
太陽が上らない内にストンプと二人でRP牧場からでた。私は頑丈な焦げ茶色馬を乗って、ストンプは三色まだら馬を使っていた。毛布に食料を五日分くるんで倉の後ろに縛ってあった。サドルバッグに44口径の銃弾を二箱と予備にコルト拳銃があった。「あのまだら馬にのっててはならず者に密かに忍び寄ることを考えてないことがわかるね」とストンプにいった。
彼は知らん顔をした。「馬の足跡で連中は5人とみえるんだ。一人は血を垂らしてた。南へと向かったね。俺の考えだと連中はモギヨン町へ行くんだろう。それからコロナド小道でメキシコへ。俺はそう見る。」
「モギヨンへいくなら、リトル・コロラド川の向こう側に渡って行った方が楽、早いのは分水峯を超えてフリスコを通っていくことだね。」
「早くいくことは今重要じゃない。廻って行こう。馬に対したは楽だ」とストンプは言う。
そこでエスクディーヤ山方向へと進路をとった。七里で川が小さくなった所で渡った。高原へ上ってブルー山脈を除けてエスクディーヤ山の丘陵地帯に流れた。できる時に馬に駈歩をさせて時間を稼いだ。坂地で馬はゆっくりあるいていて、私たちは喋っていた。まっ、私は喋って、ストンプは考え込んでいた。
「駅馬車をやった奴らは南へと見ているんだね。血を流していた奴は重傷かね?」エスクディーヤ山から降りる途中でモギヨン町は暖炉の煙ではっきりと見えなかった。風に乗った木煙の香りがあって、思い込みだったかもしれないが何か濃いコーヒーの泥臭い匂いがしたようだった。
町を見下ろした丘にストンプは馬を止めた。「そう思うね。血はそれほどなかったが、痛まれたにちがいない。」
「5人に間違いないか?」
私を見たストンプの顔は苦しかった。「ネスよ、RP牧場で言えなかったんだが追っている連中を知っておる。タイ・シンクレアにキッド・マギー、それとフレンチ・デステーンとブリードと言われている男。そして、俺の息子のナイト・ヘールだ。」
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